蝶彼

やっとマンションにつく。
今の私には階段はきつい。

目の前にいる雅は
ひょいひょいと階段を上りきった。

「・・もう最悪」

階段の一番上で私を見下ろす冷たい目

「・・何よ」
「なんで階段上ってこないの」
「・・別に?」

「あ,そう。じゃぁ俺はこれで」
「ちょ,ちょっと待った」
「何」

「・・」

カーッと顔が赤くなった。

・・・・

「最初から手伝ってくださいって言えよ」
「・・」
大きなカバンを軽々と持ち上げた雅。
階段を上りきり私は雅からカバンを受け取ろうとする。

「ありがとうございましたッ・・え?」
「・・」
手を離さない雅。
「ちょっと」
「お礼してよ」
「は?」

「彼氏にもバレてないならいーじゃん」
「私そういうの興味ないから」
「・・」

「お互い恋人いるんだからいいじゃない。
もうこれ以上関わりをなくして下さい。」

「何それ」
「何それって・・」




「俺から逃げられると思ってんの?」


そう言ってメガネを外した雅。
ゴクンと唾を飲み込む。
「逃げられるって・・捕まってないし」
「捕まってるだろ」
「・・」


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