蝶彼

隆也がいなくなってから
私は食器を洗っていた。

なんか隣で聞こえる・・

隣に耳をぺったりつけてみる。
「ヤダッ・・雅ッッ」

嘘・・朝から!?
ヤダーと騒ぎながら私は食器を
再び洗い始めた。

ごみだしに行こうと
外に出ると丁度隣の扉も開いた。

「帰ったら電話するね?」
「あぁーうん」

面倒くさそうな返事
「ねぇー!!あれは??」
嬉しそうに甘ったるい声を出す女。
「え?あぁーッ」

そう言って軽く
彼女にキスをする男

朝からこんなの見たくないよー!!
私は早足でこの場を立ち去りたかった。

ばいばいと可愛いく行って
女は立ち去ってしまった。

残された私と男。

「聞こえてただろ」
「え!?」

いきなり声をかけられて声が裏返った。
よく見るとかっこいい・・。

整った顔立ちに背は高く
軽く髪がハネている黒髪がたまらない。

「いや・・別に」
「ぜってぇ聞こえてただろ,
だってアンタたちのも聞こえてるし」
「え!?!?」

ケラケラと笑っている男。
雅って・・言ったっけ。

「隣同士仲良くしようね」

そう言って
悪魔のような笑みを浮かべて
男は部屋の中に入ってしまった。


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