蝶彼

ガチャン
その音とともに
優しくドアに私の背中をピッタリとくっつける彼。

そしてじっと私を見ていた
彼のクリクリとした目が間近に迫った。
「やッだ・・」
「やだとか言ってるけどあんま抵抗してないよね?」
クスクスと笑う彼。

優しく唇を重ねてくる。
絶対ダメだって・・
隆也にバレたら怒られるッッ!!!

でも甘いキスに力が入らない。
腰に手を回されて
ぐいッと彼の体と近づいた。
どんなに力をいれても離れられない。
少しずつ私の呼吸が荒くなってきた時
唇が離れた。

薄暗い玄関で彼の顔を見上げると
とてつもなく綺麗で惚れそうになった。


「禁断の愛って楽しいと思わない?」


「へ?」

嬉しそうに私に微笑んだ彼。
そしてゆっくりと私の耳元で囁いた。
「他の誰にも言っちゃダメだよ」

そう言って
ドアを開き
まるで蝶を逃がすかのように
私をそっと押した。

振り向いて彼を見ていると
「じゃぁまたね」

そう言って嬉しそうに手を振っている彼。

バタン
ドアが閉まった。
何?一体何があったの?

理解が出来ない私は
数分そのままドアを見つめながら呆然としていた。


え?
私と彼の関係ってどうなったの?
てか勝手にキスされてるし!!
どういうこと!?!?



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