蝶彼
それからずっと
無で過ごしていた。
ふと外を見るともう真っ暗。
早く帰ってきてよ,隆也。
メールを打つ。
『お願い,早く帰ってきて?』
こんなの送っても隆也は絶対帰ってこない。
でも彼氏と少しでも長く居たいよ。
隆也はそう思わないのかな?
うちに会うために早く帰ってきたりは
しないのかな??そんなことを思っていたら
返信が返ってきた。
『今飲み始めたばっかだから無理,ごめんな』
謝ればいいと思ってる。
どうせそうですよ。いいよ,別に。
またふてくされてる私。
ドスドスと音をたてて
冷蔵庫の前まで行く。
冷蔵庫からお酒を何本も出す。
もういい・・やけ酒だッ。
プシュッ
缶ビールをあける。
ぐいぐいと飲みほす。
シュワシュワとした冷たい液体が
喉を潤していく。
「隆也のバカ」
・・・
どれくらい経ったのだろうか?
ゆっくり目を開ける
時計は夜中の12時をさしていた。
テーブルの上には何個もの缶が転がっていた。
その時インターホンがなって
フワフワした気分のまま私は立ち上がり
ふらふらしながら玄関へ向かった。
隆也かな
隆也だといいな
私はドキドキしながら
扉をゆっくり開けた。
「こんばんは」
溶けそうな目で彼を見上げる。
「りゅうやぁ?」
顔を確認出来ないまま
ギュッと目の前にいる彼を抱きしめた。