蝶彼

隆也とは違う
少しだけ甘い香水の香りがしたけど
その彼はギュッと抱きしめ返してきた。

そして彼は私を軽々と持ち上げた。
バタンというドアが閉まる音。

外は少しだけ肌寒かった。
ほんの少し歩くとまたガチャッとドアを開け
一度来たことのあるような
ドキドキする彼の匂いに包まれながら
その部屋に入り込んだ。

ふわふわするところに
優しく寝かせられた私。
ベッドかな?
そして軋む音がして片目をゆっくり開けると
真っ暗闇の中私の目の前に
彼の顔があった。

「りゅうやのばか」

クスクスと笑う声
何で笑ってるの?やっぱり隆也じゃないの?




「ばーか,雅だよ」





そう言って甘い口付けをした彼。
優しく優しく大事に私を包む。
彼の匂いが私を包み込み
呼吸が出来ないほどドキドキさせた。

それからプツンと記憶がなくなった。



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