secret WISH
武器を手に必死に走っていると
クラーヂマンとエル・ディアブロが戦っているのが見えた。
あのムカつく野郎も
口調がおかしい女も
さっき隣町で遭った長髪も
余裕な顔をして、クラーヂマンと戦っていた。
‥いや、奴からしたら遊んでいる程度かもな。
治癒能力とか、訳分かんねぇ能力があんだから。
大広間を駆け抜けて、長い廊下を走った突き当たり。
東口から飛び出した。
風が吹く中、葉が舞って弧を描く。
ゆっくりと向けられたその瞳に、俺が写った。
「‥‥アメス?」
小さく名前を呼ぶが、無関心な目は変わらなかった。
‥いつもなら、笑って‥―――
「あぁ、ビンゴね」
アメスの隣に、一人の女が並んだ。
‥なんだよ、このオバサン。
「てめぇ、誰だ?」
「口の訊き方に気を付けなさい、僕ちゃん」
腕を組んだ手で、さらりと髪を流す女は
俺の方に足を進める。
俺は勢い良く武器を向けた。
「私の能力はね、触れる事で人の考えが分かるの」
それは物であれ、同じ。
物に触れた人のその時の考えを読めるの。
行き成り能力の説明をされても、困るんだけど。
手を伸ばしてくるオバサンを避けて
俺はアメスの元に駆けた。
虚ろな目は、俺を映さずに何処かを見つめる。
「その子ね、私たちを裏切っていたの」
毎日気付けばいなくなっていて、
何処に言ってたか訊いても曖昧に答える。
だから不審に思って
彼女が触れたものに触れてみたら、見えたのよ。
「クラーヂマンの紋章が」
「‥だから?」
「殺したわ。彼女のココロを」
「!?」
殺した、って‥どういう事だ!?