secret WISH


不意に、パチリと合った視線。
何となくぺこりと小さくお辞儀をすると、
その子はまた恥ずかしそうにして、はにかんだ。
あ、可愛いかも。

『とりあえず中に入って?お昼時だし、お腹空いたでしょう?ご飯準備しているから』

『ごめんね、気を使わせてしまって』

『そんなの全然いいわよ。ほら、旦那さんもセレスくんも』

『“旦那さん”ってルベから言われると、何か変な気分~』

笑顔で手招きをするルベおばちゃんに言われて
俺は荷物を持って母さんの隣に付いた。
父さんの荷物重たくないかな、と振り向けば
頭を撫でられた。

大きくて、ゴツゴツした手は
優しくて大好きだ。

『こんにちは、久し振りだな』

大広間というところに通されると、
後ろからおじちゃんが顔を出した。

『わぁっ‥ベニト、お前吃驚するじゃねぇか!』

『はははっ、おぉ、セレスくん大きくなったなぁ』

って言われるけど、俺‥このおじちゃん知らねぇ。
とりあえず俺は、頭を下げた。

『最初に見たときはやっと歩き出した頃だったもんな』

と、父さんは俺の肩をぽんぽんと叩いた。
テーブルの上には結構豪華な食べ物が並べられていて
父さんも母さんも「ここまでしなくても」と首を振った。
俺の正面に座ったチャロ(だったっけ?)は
料理を見て、何だか不思議そうな顔をしていた。
あぁ、今日はトクベツなんだな。


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