secret WISH


食事をしながら聞いた話によると
此処はルベおばちゃんの(本当に)家らしく。
ルベおばちゃんと母さんは幼馴染で
ルベおばちゃんと父さんは同職の仲間。

ちょっと昔に此処で開かれた舞踏会で
そこに父さんは来たんだけど、トイレに行った後
何処から来たか分からず道に迷い、
曲がり角で母さんとぶつかったのが2人の出会い。
そこから順調に交際してゴールインってわけだ。

新婚で浮かれている父さんは
ぶっちゃけルベおばちゃんにとって邪魔だったみたい。
そんな時に出会ったのが、
エル・ディアブロという種族のベニトおじちゃん。
ベニトおじちゃんはいつもこの城の近くの湖にいたらしく
たまたま湖に行ったルベおばちゃんと意気投合。
そして父さんの愚痴ばかり話すルベおばちゃんに
いつしかベニトおじちゃんは嫉妬。
そんでモヤモヤした日々が続いちゃって
それに耐えれなくなったルベおばちゃんは
『ベニトが一番なの』と告白、無事ゴールインだって。

『へぇー』

『“へぇー”じゃねぇよ!セレス、お前もイイ恋しろな?』

『ふ~ん?』

『“ふ~ん?”じゃねぇよ!てか、何で訊き返す?』

恋とか何とか言われても、
まだそういう事よく分かんねぇもん。
要するにアレだろ?
おとぎ話とかでよくあるさ、
王子様がお姫様と結婚して幸せに暮らすの。
あんなのをしろってんの?
無理無理、俺王子様じゃないし。

『ごちそうさまでした。おいしかったです』

『ありがとー、お世辞まで言えるなんていい子~』

『おせじ?』

『うちの子はお世辞言わねぇよ!』

おせじ、おせじ?
首を傾げると、母さんが
“相手を喜ばせる為の過激な褒め言葉”だと
笑いながら教えてくれた。
俺、本当の事言ったんだけどな‥。

『じゃあ、セレスくんとチャロはお部屋で遊んでおいで』

『え?』

『はい、わかった』

『これから大人は大事な話をするからね』

いつの間にか椅子から降りたチャロは、俺の隣に立っていた。
行こう、と差し出される手。
俺は椅子から降りると、その手をとった。




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