secret WISH

俺は薄暗い廊下に出た。
雷が鳴る度に、廊下の光が揺れ動く。
しかも何、何で廊下に鎧なんか置いてるんだよ。
ソウイウ雰囲気出るんだけど‥

チャロのところに行ったからって、
別に掛けてやる言葉は思いつかないし、ないし。
おじちゃんもおばちゃんも‘何’から逃げているとか
詳しくは分からねぇけどさ、
一つだけ言えるのは‥

『チャロ、いるんだろ?』

控えめにノックをして、俺は名前を呼んだ。
扉に耳を当てると、鼻を啜る音。

『‥おとうさんとおかあさん、そこにいるんでしょ‥』

『いない。俺一人』

『ウソだよ、そういってわたしを ここからだそうとしてる』

『本当に俺一人だって。‥なぁ、本のつづき読んでやるから、あけ‥‥』

その時、ドォンと大きな音に一瞬視界が真っ白になった。
あー、近くに雷落ちたな?
俺は目がシバシバして、ゴシゴシ擦った。

ゴンッ

『あだ‥ッ!!』

勢い良く開かれた扉。
扉に耳を当てていた俺はもちろん避ける事なんて出来なくて。
頭を押さえてしゃがみ込んだ。

『っ~~~~~!!』

もっと注意してあけろよ、と怒鳴ろうと顔を上げたが
チャロが俺に抱きついてきて、言葉は飲み込まれた。
‥な、泣いてる。
すんげぇ泣いてる‥。

『え、ちょ、え?』

俺何かした?と訊いてみたら、首を振る。
でも泣いてる。

『あー‥かみなり、ダメなんか?』

『‥ぅん』


あー、それで泣いてんだな。
俺はチャロを抱えると、部屋の中に入って椅子に座らせた。
よしよしと頭を撫でてやるけど、その目からは涙。
手は俺の袖を強く握ったままだ。

『だいじょうぶだって、俺ここにいてやるから』

そう言うと、コクンと頷いた。
‥今さっき聞いた事言ったら、悪いだろうな‥。
でも‥‥

『あのさ、さっき下できいた話のことなんだけどな』

わ、何か嫌そうな顔してる。
言うんじゃねぇ!!って目付きしてる‥。

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