secret WISH



今日も綺麗な青が空を支配している。
部屋の窓から外を覗くと、
おめかしした人たちがこの城にやってきていた。
派手~なドレスを着た人がいれば
清楚な雰囲気のドレスを着た人も。
男の人は殆んどが黒いタキシードを着こなしている。
もちろん俺も、その中の一人だ。

『で、此処にこうやって‥回して、んで通すっと』

『ん?こうか?』

父さんにスカーフの巻き方を習う。
一緒に巻きながらするけど‥、あれ?
父さんみたいに綺麗に出来ないな。

『ははっ、初めてなんだからそんなもんだろ。上等上等!』

笑いながら父さんは俺のスカーフを綺麗に整えてくれた。
そしてよしよしと頭を撫でる。
父さんの手がゴツゴツしているのは、
母さんや俺を守る為に、毎日治安署で働いているからだよな。
だからゴツゴツしているけど優しいその手が好きなんだ。

コンコンと部屋の扉がノックされる。
弾んだ、元気のいい叩き方だ。

『セレス、きがえた?』

ひょこっと顔を出して、チャロは俺を見た。
見開かれる目に、俺は自分が何処かおかしいのかと鏡を見た。
うん?‥うん、大丈夫だよな?

『チャロちゃんは着替えたのかな?』

父さんがチャロのところに行き、扉を開いた。
すると薄いピンク色のドレスに身を包み
長い髪を二つに結ったチャロがいた。

『‥‥』

『お~?うちの坊やが見惚れちゃってる』

『なっ、ち、ちが‥ッ』

や、そ、そういうんじゃねぇって。
いや、でも可愛いけど
でもでも、そんなんじゃ‥‥

『へ、ヘンじゃない?』

『いや、ぜんぜん。にあってるよ』

『ホント?セレスもにあってる、かっこいいね』

そういうとチャロは、俺の手を引っ張った。
父さんを振り向くと、行ってらっしゃいと手を振られる。
舞踏会が始まるまでに、時間はまだまだある。
時間になったら舞踏会場においで、と。
そうして連れて来られたのは、またチャロの部屋だった。

『そっか、あと少しで読み終わるもんな』

『うん、だからよんで?』

また2人でベッドに上り、本を開いた。
しおりが挟んでいる先からは
いよいよクライマックスシーンだ。


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