secret WISH
パラパラと、瓦礫の欠片が落ちてきている。
ピシピシと、何かに罅が入る音が聞こえる。
その中で、俺は震える足をゆっくり動かした。
チャロの手を取って。
『‥ごめんなさいね、セレスくん』
やっと聞きとれるくらいの声で、ルベおばちゃんが言った。
振り返ると、2人が頭を下げていた。
俺は何も言わずに、ただチャロの手を引いて舞踏会場から出た。
そこから出ると、だんだん不安が募ってきた。
それはチャロも同じ様で。
お互い足が重いのが分かる。
ふと隣に視線を送れば、折角の衣装は
チャロも俺のもボロボロだった。
さっき逃げて走っている時に、引っ掛けて破けたり。
瓦礫の砂で汚れてしまったり。
玄関は大きく崩れてしまっていて、瓦礫で塞がっていた。
でも、俺たち子どもが通れそうな隙間はある。
俺はもう一度振り返った。
『‥セレス?』
いや、あの人たちなら大丈夫だ。
此処以外に外に出るところはある筈。
『チャロ、気を付けて来いよ。くずれたら大変だかんな』
俺は瓦礫の上に登りながら、チャロに手を貸した。