secret WISH



町はコッチだと言うのに、チャロは首を振った。
寄るトコロがあると。
だから俺は、チャロについて行ってやった。

歩いて半日経った今は、空が暗くなっていて。
そこの木にでもとまってんのかな。
フクロウの声が聞こえる。
風が吹く度に、少し肌寒く感じるけど
チャロは平気か?



遠く、遠く。



ひたすら歩いて着いたのは、深い森。
その中にある大きな洞窟へ
チャロは灯りに頼る事なく踏み込んでいった。

入って直ぐに、地下へと続く階段を降りる。

そして着いた空間にあるのは
ぼんやりと光るモノ。

それは蝋燭なんかではなく、



1つの石だった。



チャロはその石を手に取ると、鞄に仕舞った。
そして、今降りてきた階段を上っていく。
俺はポケットの中のイヤリングを握り絞めた。

『もう、くらくなっちゃったね』

『‥今日はここらで休んでいかねぇか?』

『うん。あし、いたいもん』

チャロはそう言うと、今出てきた洞窟を指さした。
周りは木ばかりで、家が無ければ灯りもない。
‥まぁ、そこら辺で寝るよりはマシだろうな。

洞窟の中に入ると、さっき取った石を手にすると
さっき置かれてあった場所に置いた。
ぼぅ‥と微かな光を出すその石は、何だか不思議だった。

なんだろ、この石見てると‥‥



『セレス、おなかすいた』

『えっ、あ‥そうだな』

あれ、俺この石見て何考えてたんだっけ?
チャロの言葉に思考が遮断されて、俺は瞬いた。
渡された袋から食料を取り出しながら
また石を見つめる。

でも、考えていた事は出てこなかった。


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