secret WISH


『チャロ、待て!!』

逃げ惑う人の中、その小さな姿を見失わない様に必死に後を追った。
足を引きずる治安署の人が、隣を通った。
そのあとには、赤い跡。

‥やられたのか!?

ドオンと地面が揺れる振動と大きな音。
空を仰げば、晴天の空にもくもくと雨雲の様な煙が。
それはここら一辺を飲み込んだ。

『っ、チャロ!』

煙が霧の様に視界を遮り、ぼんやりしている。
息をする度に当たり前だけど煙たくて、目が痛い。
ゴシゴシと目を擦りながら、俺は覚束無い足を進めた。

この煙が上がっている中心の方に
チャロは行ったはず‥

その時、煙の中で光が見えた。
あの光は‥、城で、見たものと

『‥同じ‥』

視界の煙が少し薄くなって、見える様になるその姿。
光を構えては、人に向かってそれを投げる。
人が倒れているのに、人が怪我しているのに。
なのに、楽しそうな顔。

‥あの女だッ!!
マズイ、俺に見えているという事は、

『チャロ!下がれ!!』

人々の中で見つけたチャロは、今にも女に飛びかかろうとしていた。
あの女はまだチャロに気付いていない。
周りの逃げ惑う人たちの騒音が五月蝿くて
俺の声もチャロには届いていない。

俺は全速力でチャロの元へ駆け出した。
ヤバい、ヤバい、ヤバい。
と、心臓が早鐘を打っている。
もしチャロにあの女が気付いたら、絶対にあの光をくらう。
その前にチャロを止めねぇと!!



あと少しで手が届く

その時、女は俺たちに気付いた。

上げられる口の端。

光はチャロを目掛けて構えられた。


俺はその時、自分のことなんか何にも考えてなくて。


チャロを突き飛ばした。



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