secret WISH



『‥ぁ、れ?』

目を覚ますと、さっきの部屋の天井。
そろりと体を起こせば、多少ダルさは感じたものの
何処からも激しい痛みは感じなかった。

‥あれ? 
俺、思いきり腹にあの光が‥‥

腹をさすっても、痛くも痒くもない。
自分でさすっているのに、ちょっとこそばゆいだけだ。
ベッドサイドに目をやると、チャロの姿が。

寝てんのか?

頭を撫でると、髪の間から顔が覗いた。
頬に、何かが通った跡が数本あった。
泣いていたのか‥、チャロ。

『‥む』

頭を撫でていると、チャロはパチリと瞳を開いた。
俺を見上げる大きな瞳は、見る見るうちに潤んでいく。

『‥セレ、ス?』

『おはよう、俺どんくらい寝てた?』

『に、ににち』

『それ言うなら“ふつか”だろ。‥って、そんなに?』

俺、今まででそんなに寝たこと無いぞ、きっと。
赤ちゃんだって、長くて半日寝りゃあ起きるだろうし。

『ふ、うぅ‥、よかったよぉ~‥』

わんわんと泣き出したチャロは、躊躇無く俺に抱きついた。
恥じらい無くなくその姿に、俺は何だか笑いが漏れる。
笑うところじゃないってのは分かってるけど。
でも、何だか可笑しくて。

『チャロ、大丈夫だって。な?』

『うん、わ、かってるけど、ううぅぅ‥』

あれ?
寝てたって事は、やっぱ何か攻撃を体が受けたんだよな?
攻撃受けた筈の腹は何ともない。
他に怪我してるところと言えば‥、手の掠り傷。

『俺、攻撃受けたよな?』

『おなか、ひどかった』

『‥でも、傷とか無いみてぇなんだけど‥‥』

『‥‥』

え? 
な、なに?
何でここで止まる?

俺は片眉を上げて、どうして?ともう一度訊いた。
伏せる目に、ぎゅっと口を塞ぐ。
もしかして言い難いとか‥

言えないことなのか?

『あー、っと‥、無理して言わなくていいよ、うん』

『‥ごめんね』

『や、いいって』

そう言いながら辺りに目を配るけど、
試しに、と耳を澄ましてみるけど、

俺たち以外に、人の気配がしない?

『セレス、あのね』

『ん?』



来てほしいトコロがあるの。


< 139 / 173 >

この作品をシェア

pagetop