secret WISH
『‥ぁ、れ?』
目を覚ますと、さっきの部屋の天井。
そろりと体を起こせば、多少ダルさは感じたものの
何処からも激しい痛みは感じなかった。
‥あれ?
俺、思いきり腹にあの光が‥‥
腹をさすっても、痛くも痒くもない。
自分でさすっているのに、ちょっとこそばゆいだけだ。
ベッドサイドに目をやると、チャロの姿が。
寝てんのか?
頭を撫でると、髪の間から顔が覗いた。
頬に、何かが通った跡が数本あった。
泣いていたのか‥、チャロ。
『‥む』
頭を撫でていると、チャロはパチリと瞳を開いた。
俺を見上げる大きな瞳は、見る見るうちに潤んでいく。
『‥セレ、ス?』
『おはよう、俺どんくらい寝てた?』
『に、ににち』
『それ言うなら“ふつか”だろ。‥って、そんなに?』
俺、今まででそんなに寝たこと無いぞ、きっと。
赤ちゃんだって、長くて半日寝りゃあ起きるだろうし。
『ふ、うぅ‥、よかったよぉ~‥』
わんわんと泣き出したチャロは、躊躇無く俺に抱きついた。
恥じらい無くなくその姿に、俺は何だか笑いが漏れる。
笑うところじゃないってのは分かってるけど。
でも、何だか可笑しくて。
『チャロ、大丈夫だって。な?』
『うん、わ、かってるけど、ううぅぅ‥』
あれ?
寝てたって事は、やっぱ何か攻撃を体が受けたんだよな?
攻撃受けた筈の腹は何ともない。
他に怪我してるところと言えば‥、手の掠り傷。
『俺、攻撃受けたよな?』
『おなか、ひどかった』
『‥でも、傷とか無いみてぇなんだけど‥‥』
『‥‥』
え?
な、なに?
何でここで止まる?
俺は片眉を上げて、どうして?ともう一度訊いた。
伏せる目に、ぎゅっと口を塞ぐ。
もしかして言い難いとか‥
言えないことなのか?
『あー、っと‥、無理して言わなくていいよ、うん』
『‥ごめんね』
『や、いいって』
そう言いながら辺りに目を配るけど、
試しに、と耳を澄ましてみるけど、
俺たち以外に、人の気配がしない?
『セレス、あのね』
『ん?』
来てほしいトコロがあるの。