secret WISH
そうだ‥あの後、俺気ぃ失ったから
チャロがどうなったか分からない。
「兄貴!チャロは‥ッ!?」
「チャロ?」
ああぁ、そうだった。
何でか知らないけどチャロは
“アメス”と偽名を名乗ってるんだった。
「ごめん、アメスだアメス!」
「‥そうか、さっき病棟から帰ってきたばかりだから何も聞いてないか」
「え?」
「爺さんに聞いたんだけどね」
アメスは昨日と一昨日の2日間、自分の事については何一つ口にしなかった。
でもずっとこう言っていたらしい。
「『セレスさんに会わせて下さい』と」
「‥俺?」
「うん、『ほんの少しだけでも2人きりにして欲しい』ってそればかりだったって」
でもそのお願いを聞く程、甘くないと分かったんだろうね。
アメスは言ったとおりにしてくれたら、『拷問でも何でも受けます』と言ったらしい。
「それでさっき、お前のところに行ったらしいけど‥」
「ああ、来たぜ‥“アメス”は」
あのカモミールの香りは、やっぱりチャロのものだ。
『貴方の命は私のモノ、絶対に死なせない』
そう言ってチャロは、俺を助けてくれたんだ。
胸元で暴れていたオニキスは、気付けばドアを叩いていて
俺を必死に呼んでいる様に思えたが
何かに閃いた様に尻尾をピンと立てた。
「でもね、セレス。問題は担当者が“あの人”かもしれないだ」
表情を曇らせた兄貴が口にした“あの人”。
それが誰を指しているかは、直ぐに検討が付いた。
それと同時に走る、衝動。
“あの人”の本名は知らない、というより知るまでもないが
一度大きな罪を犯している。
17人の人を殺した、人間によく似たメスのモンスターを
拷問及び強姦したサイテーなやつだ。
一度は止めさせようとしたらしいのだが、国家の御偉いさんの息子らしく。
治安署はこの事件を隠ぺい。
この事件に対して爺さんは反発したが、爺さんの意見でさえ通らなかった。
そういえば爺さん、この事件があった時頭抱えてたな。
‥‥じゃなくて、もしそうなら
「相当、ヤベェ‥」