secret WISH
欠片ずつの解




通常は猫に対して使う、猫じゃらしを
オニキスに対して使う兄貴は、何処かぼぅっとしていた。

あ、ここでもちゃんと整理。
兄貴にとって爺さんは、本当の爺さん。
チャロにとっても爺さんはお爺さんで。
要するに、2人はいとこってわけ。
まぁ、そんな事は今はどうだっていい。

「本当の事話してくれたっていいじゃねぇかよ」

「いいかな、セレス。男は一つや二つ謎めいていた方が面白いの」

「こっちは面白くねぇ‥」

任務終わりに、兄貴の部屋に来たのはオニキスを預けていたからだ。
だからついでと言っちゃぁあれだが、兄貴に訊いてみた。
ファントムが見当たらないけど、どうしたんだと。
そしたら話逸らされるわ。
オニキスで遊び出すわ。
俺、空気扱い?

「チャロが言っていたんだよ、ファントムの気配がしないって」

「チャロ‥?」

「‥アメスの、本当の名前だ」

「ふ~ん、そう」

全然興味無さげな返事に、俺はため息を吐いた。
オニキスを兄貴から奪う様に抱き上げて、兄貴と向き合う。

「‥そこまでして、訊きたい?」

「だからこうしてんだろ」

はぁ、と次は兄貴が溜め息を吐く番。
気付いてないとでも思っているのだろうか。
きっと兄貴は、治安署が襲撃されたのを境に
ファントムと会っていない。
だんだん頭が下がって、笑わなくなっているっていうか
いや、笑っているんだけど
笑っているときの方が辛そうっていうか‥

「ファントムはさ、此処にはもう戻ってこないと思うよ」

「‥え?」



< 159 / 173 >

この作品をシェア

pagetop