secret WISH
欠片ずつの解
通常は猫に対して使う、猫じゃらしを
オニキスに対して使う兄貴は、何処かぼぅっとしていた。
あ、ここでもちゃんと整理。
兄貴にとって爺さんは、本当の爺さん。
チャロにとっても爺さんはお爺さんで。
要するに、2人はいとこってわけ。
まぁ、そんな事は今はどうだっていい。
「本当の事話してくれたっていいじゃねぇかよ」
「いいかな、セレス。男は一つや二つ謎めいていた方が面白いの」
「こっちは面白くねぇ‥」
任務終わりに、兄貴の部屋に来たのはオニキスを預けていたからだ。
だからついでと言っちゃぁあれだが、兄貴に訊いてみた。
ファントムが見当たらないけど、どうしたんだと。
そしたら話逸らされるわ。
オニキスで遊び出すわ。
俺、空気扱い?
「チャロが言っていたんだよ、ファントムの気配がしないって」
「チャロ‥?」
「‥アメスの、本当の名前だ」
「ふ~ん、そう」
全然興味無さげな返事に、俺はため息を吐いた。
オニキスを兄貴から奪う様に抱き上げて、兄貴と向き合う。
「‥そこまでして、訊きたい?」
「だからこうしてんだろ」
はぁ、と次は兄貴が溜め息を吐く番。
気付いてないとでも思っているのだろうか。
きっと兄貴は、治安署が襲撃されたのを境に
ファントムと会っていない。
だんだん頭が下がって、笑わなくなっているっていうか
いや、笑っているんだけど
笑っているときの方が辛そうっていうか‥
「ファントムはさ、此処にはもう戻ってこないと思うよ」
「‥え?」