secret WISH

それは、好きだから。
好きだから余計に相手の事考えてしまって
余計に何も出来なくなる。

‥俺、本気でアメスの事好きなんだな。

どこか他人事のように思うけど
それは紛れもなく自分の感情。

初めて出会った時から、警報が鳴り止まない。

止めた方がいい。
何処かでそう言う自分がいる。
自分の命の為に落とした方がいい。
何処かでそう囁く自分がいる。
命よりも、相手の事を考えろ。
何処かでそう叫ぶ自分までいる。

「‥セレスさん?」

気付けばアメスが後ろにいた。
ハッと意識を戻すと、鏡越しに合う視線。
こんな優しそうな顔をする子が‥‥
ずっとずっと。
アメスが隣にいる度にそう思う。

「どうしたんですか?」

そう言う声も、首を傾げる仕草も
すべて偽りなんだろうか。
そうやって、“いい子”を演じて
いつ俺を殺そうか、と隙を見ているのだろうか。
ずっとずっと。
アメスが隣にいる度にそう考えてしまう。

「‥いや、何でもない」

嫌だな、こういう俺。

人ってこういう生き物だ。
疑ったら、それを疑って止まない。



‥汚い、生き物だ。





< 19 / 173 >

この作品をシェア

pagetop