secret WISH
昼飯を食べ終わってから。
俺は任務着に着替え、耳のイヤリングを揺らした。
これから、隣町の森に向かう。
「じゃ、行ってくるけど‥お前此処にいるんか?」
ブーツの紐を固く結びながら問いかけると
アメスはふるふると首を振った。
「いいえ、セレスさん見送ったら出ていきます」
「そっか。オニキス、お前悪戯とかすんなよ?」
ぴんっと軽く角を弾けば、
オニキスはがぶりと人差し指に噛み付いてきた。
痛い痛いと言ってもなかなか離れないのは
一応、コイツの長所。
狙った獲物は逃さないってのだ。
俺が絶対に部屋から出るなよと念を押すのは
当たり前の事。
部屋から出る時に廊下を確認するのも
当たり前の事。
もし見つかったりでもしたら、とんでもない。
部屋が一番端にあることと
この施設に監視機が無い事は唯一の救いだ。
「多分さっさと片付くから、夜には帰ってくるよ」
そう言った俺に対して
アメスは「行ってらっしゃい」と言うが‥
やっぱり好きでも、疑っているから。
俺は「行ってきます」とは言えないんだ。