secret WISH
「おい、セレス」
兄貴の声に、俺は咄嗟にオニキスを自分の後ろに隠した。
「な、なな、何?」
「これ、爺さんからお前に渡してって頼まれてたんだった」
忘れてた。と手渡されたのは、数枚の紙。
手紙を書くような用紙にぎっしりと書かれていたのは‥
「何なんだ?それ」
「ああ、“エル・ディアブロ”についての資料」
爺さんが知っている限りの事を書いてもらったものだ。
へぇ~といいながら、兄貴は明らかに目線がベッドの方にいっている。
‥だ、大丈夫。
“エル・ディアブロ”っていっても、何もしなかったら
俺たち普通の人間と変わりねぇんだから、うん。
「‥彼女か?」
「え、いや‥ちょっと違うっていうか‥友達みたいな?」
「友達ねぇ~」
にやにやと笑いながら、兄貴は俺の額を弾いた。
「まぁ、青年は青年らしい御付き合いをするように」
「だ、だからそんなんじゃねぇって」
「あまり暗くならないうちに帰らせろよ」
そう言って兄貴は部屋から出ていった。
それと同時に緊張の糸が切れ、俺はバタリと机に頭を預けた。
手には汗握ってるわ、背中は冷汗かいてるわ。
オニキスが後ろからパタパタと玄関の方へ飛んで行って
暫くするとガチャリと音が鳴った。
ああ、鍵掛けてくれたんだな。
俺の元に戻ってくると、ぺシぺシと頭を叩いたり
ぐいぐい髪の毛を引っ張ったり。
すみません、これからは直ぐに鍵掛ける様にします。