secret WISH


直ぐに帰ると言っていたのに
部屋に帰ると何故かアメスはセレスのベッドで寝ていた。

‥帰ろうと思っていたけど、寝てしまった。
というところだろうか。

兄貴が部屋からいなくなって
安著の溜め息をつきながら、俺は資料に目を通す。
すると、オニキスが髪を引っ張った。
机の上の紙を小さな小さな手で指差す。
そこには『ご飯は?』と書かれていた。

おぉ、コイツ字書けたんだ。
学習能力あるヤツだなぁ。

オニキスは基本的に食事はしないらしいが
時々俺が食べているものを横取りする。
それは、美味しいものばかり。

「腹減ったのか?」

小さくコクンと頷くオニキスに、
じゃぁ、飯にするかな。と俺は立ち上がった。
そして簡単に食事の準備を。

今日の朝下で貰ったパンに、
オニキスが気に入ってくれたコーンスープ。
レタスにポテトサラダを盛り付けて。

「これくらいでいっかな」

小さな皿にコーンスープを注いでやると
オニキスはパタパタと尻尾を振って寄ってくる。

いつも戦っているドルガーなのに、
何でコイツはこんなにアイツ等と違うのだろう。
可愛げがあるし、学習能力あるし?

ぱくんと一欠片のパンを口に放り込んで、
再び資料を手に取った。

この資料を爺さんに頼んだのは
エル・ディアブロを倒す為だけではない。

アメスは俺の部屋で寝ているくらいだから
多少、心を許してくれているのだろう。
けれど‥‥

きっとアメスの事を訊いたって、
なかなか答えてはくれない。

だから、まずは“エル・ディアブロ”を知ろうと思ったんだ。


< 26 / 173 >

この作品をシェア

pagetop