secret WISH



「おはよ、目ェ覚めた?」

パチリと目を覚ましたアメスは
少し恥ずかしそうに小さく頷いた。
いつもはアメスが俺をを起こすけど
今日はその反対。

何か面白い気分だ。


アメスにカーテンを開けるように頼むと
俺は朝食を机に並べた。

「‥あの、セレスさん?」

「ん?気にしないで食べて」

机の上にあるのは、アメスとオニキスの分だけ。

まだ少し、夜中のムカムカが残っていて
食べる気にはあまりなれないんだ。

「美味い?」

「はい、美味しいです」

にっこり笑って言うんだから、味には問題無いのだろう。
パクパクと美味しそうに食事をとるアメスは
いつもより幼く見えた。

「今日はいい天気だな~、昼寝日和だ」

「まだ朝ですよ」

クスクスと笑いながら、アメスは最後の一口を口に含んだ。
大好きなアメスと、食事をとる機会が少ないオニキスは
とても嬉しそうに食事を取った。

そんな光景を見つめて、ベッドに上がった。
窓の外、ずっと遠くの方を見つめる。
青い空には白い雲が悠々と流れ、太陽を目指している。
ピチピチと泣きながら、鳥は朝から追いかけっこだ。

「何、見てるんですか?」

足元が揺れたと思ったら、アメスが隣から顔を出した。
同じ様に外を見るけど、面白いものなんてないから。
首を傾げて、もう一度同じ事を訊いた。

「別に何も無いぜ。な~んとなく、外見てたんだ」

「どこか行きたいところでもあるんですか?」

そう訊かれて、アメスを振り向いた。
真っ直ぐな瞳が、俺を捕えている。

「そうだな‥、行ってみたいところはあるぜ?」

「どこですか?」

「いろんなところ。どこの国でもいいから行ってみてぇよ」

今までいろんな所に任務で行った。
そこで見たもの感じたものはそれぞれで
全く同じところなんて一つも存在しなかった。

「俺な、この戦いが終わったらさ、旅してぇんだ」

「‥旅?」

「そ、いろんなもの見て、いろんなこと聞いて。あ、いろんなもの食いてぇな」

それが叶うかは、どうかと思ったが
それでも、そういう夢みたいなものがあると
何でもやる気になれるから。

こういうのいいだろ?とアメスに笑って見せた。

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