secret WISH
「なぁ、爺さん」
「んー?」
「あと3日でさ、相手を落とす方法ってねぇかな」
「それは‥無いのぉ」
惚れ薬でもないと無理じゃろう。
笑いながら言った爺さんは、また一つ、ページを捲った。
だよなぁ‥としか答える事が出来ず、俺は溜め息。
「でもな、セレス。例外もあるぞ」
「例外?」
「言えばいいんじゃよ、素直に気持ちを告げればいい」
「‥‥」
「そうすれば、相手にお前の気持ちが届くじゃろ」
やっぱり、言わないと始まるものも始まらねぇか‥。
ゆっくりと体を起して、椅子に座り直した。
ふと、爺さんがしている時計を目にして
俺は慌てて立ち上がる。
「‥っ、ヤッベェ!!任務入ってんだったっ!」
椅子に掛けていたジャケットを乱暴に取ると、
バタバタと騒がしく本を片付けた。
「ゴメン爺さん、俺行ってくるわ!!」
「ほほほ、いってらっしゃい」
「あぁ、その‥ありがとな、爺さん」
笑顔で手を振る爺さんに背を向けて、走り出した。
‥あ、そういや此処走っちゃいけねぇんだ。
後で爺さんから注意されるかもと思ったが、
それもたまには、良いかもしれない。
あと3日で、俺は終わるかもしれないんだから。