secret WISH
任務が終わったのは、すっかり日が沈んだ頃だった。
今日もドルガーは何もしてこなかった‥。
疑問を抱えながら、肩をコキコキと鳴らす。
そこへ、顔面に黒い物体が飛んできた。
「ブッ‥!!」
べりっと顔からそれを剥がせば、
離せと言わんばかりに暴れ出すソレ。
「ま~たお前か」
オニキスは1日に1回はこうして顔にへばりつく。
何が楽しくてこんな事をするんだか‥。
と思うのだが、コイツの可愛さに負けて許してしまう。
ジャケットが黒い事もあってか
夜はドルガーであるオニキスが至近距離でも見え難い。
町に降りてまで迎えにくるなんて初めてのことだ。
昨日、アメスには今日は夜に帰ると言ってあった。
でもオニキスが俺のところに来たって事は‥‥
「アメス、今日来てないんか?」
人通りの多い道に入った為、小声で訊く。
コクンと胸ポケットの中で頷いたのが分かった。
今日は何か用事でも出来たのだろうか。
その時、オニキスが俺の胸を蹴飛ばした。
何かと思い、オニキスを覗けば何処かを指さしている。
薄暗い路地の中。
それでも映えて見える銀色の髪。
「‥‥アメス‥だよな?」
独り言で言ったつもりだったのだが
オニキスはまた頷いた。