secret WISH
「‥ワケ、分かりません‥」


ポツリと吐かれた言葉に、握られる拳。
アメスは動揺して揺らぐ目で、俺を見た。


「1ヶ月、もう経つじゃん」

結果はもう分かってる。

お前が言った通りになる。

「だから、殺れ」


なかなか動こうとしないアメス。
それに対してムシャクシャ感を募らせた俺は、ベッドから降りた。
強引に手を引っ張って、ベッドにその体を放る。
小さな悲鳴を上げたアメスが体勢を直そうとした時、
アメスに向かって机の上のナイフを投げつけた。
ガッと硬いものがぶつかり合う様な音。

「‥っ」

アメスの腕にかすったナイフ。
白い腕からは、赤い血が出てきた。
でも、それは直ぐに治っていく。


「‥本当なんだな、治癒能力があるって。‥‥厄介なヤツ」


ぐっと唇を噛み締めるアメスは、オニキスを逃がす様に手放した。
壁に刺さったナイフを手に取ると、俺を目で捕える。
ナイフを投げたのは、アメスに当てる為じゃなかった。


‥そう、そうやって俺に向けさせる為だ。


ゆっくりアメスへ近づけば、アメスはナイフを構えた。
でも、頭を下げて俺を見ようとしない。
ベッドの縁に着いた時
ぐぃっと思い切り引っ張られて、
壁に押さえ付けられた俺に
アメスは馬乗り状態に乗ってきた。


ガッ‥


鈍い音と共に、頬に痛みが走る。


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