secret WISH


小声で呟くアメスに、
オニキスはぶんぶんと必死に首を振った。
‥でも、何もしなければ普通の人間と変わりねぇし‥。

「なぁ、連れもいるがいいか?」

『おぉ、人手が多い方が助かる』

「ん~じゃあ、飯食ったら行くな」


ぷつんと切れる通信。
アメスは洗面台を借りると言って、オニキスがその後を追いかけた。

‥大丈夫だよな?

いくらエル・ディアブロだって言っても
見た目は俺たち人間と変わりないし‥。
よっぽどの事が無い限り、正体はバレない。
もしもの時は、俺が何とかする。
うん、なんとかしねぇとな。


箪笥の中をあさって、適当に服を取ると
着ている服を脱ぎ捨てた。

女の子って結構ああいうのに時間掛るんだろ?
だったら今のうちに着替えとくか。

「ぇ、ひゃぁ‥ッ」

着る服を手に取った時、アメスの小さな悲鳴が聞こえた。
固まってしまっているアメスは
見る見るうちに顔が真っ赤になっていく。

「ご、ごごご、ゴメンなさい!!」

「‥え、もう?」

そう言って洗面台に引っ込んだ。
オニキスがこっちを睨んでいる。

なんか俺、変態っていうような目で睨まれてる。

一人で苦笑しながら、俺は上着を羽織った。


もういいぞ、と言うけど返事が無い。
オニキスがペンを持って、すらすらと文字を書いた。

あぁ、着替えに帰って来るんだ‥。
次来た時、どういう顔したらいいんかな。



ここにはもう、今までみたいな空気は無かった。

アメスといる事が素直に嬉しくて
アメスといる事が素直に楽しくて

どうして今まで疑っていたんだろうと思う。
どうして今まで恐怖を抱いていたんだろうと。



よし、とりあえずアメスが戻ってきた時に
直ぐに食べれる様に
朝食の準備としますかっ!



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