secret WISH
笑顔で、そんな残酷な事を
さらりと言った少女は
床に目を下ろした。
後ろの、白い蝋燭は
赤のせいで余計に映えて見える。
「‥‥!!」
さっきは暗くて全く分からなかったけど
教会の隅には、人間の‥―――
「そんな顔して見ないで下さいよ」
ヒトの死体の山なんて‥。
口元に手を当ててクスクスと笑うコイツは、
何て神経をしているんだろう。
ただの人の死体じゃない。
腕や足が切断されていたり、首が無い死体も。
そんなものを目の当たりにしても動じず
笑って見せるなんて‥‥
俺は少女に恐怖を覚えながら
口を開いた。
「‥お前が、したのかよ」
「ええ、そうですよ」
それを聞いた時、俺の体に何かが走り抜けた。
ヤバい、こいつはヤバい‥ッ!!
少し後ずさり、少女と距離を取る。
「‥お前、何者だ」
「きっとコレを答えたら、貴方は死ぬ事になりますね」
そう言う少女がスッと右手を上げた。
すると、ズルズルと地から這い出てくる黒いモノ。
一見ただの影の様に見えるが
そいつの体は沢山の螺旋が集まって
それが人型になって出来ている。
そう、この訳分からねぇのは
倒すべきモノ、ドルガーだ。
俺は少女を睨みつけた。
「‥まぁ、答える前にいってもらいますけど」
バッと少女が俺を指すと
ドルガーが一気に少年に襲いかかる。
「‥ちっ」
咄嗟にイヤリングを手にすれば
イヤリングは武器化する。
両端に十字架の刃を備えた、ロッドに。
ズバッと先頭組みのドルガーを真っ二つに切り、
上から襲いかかってくるドルガーも、同じ様に切る。
螺旋を沢山浮かべながら、ドルガーが空気に溶けた。
「‥‥」
驚いた表情で俺を見る少女は
さっきまでの余裕で溢れた顔ではなかった。
まるで、子供の様な顔。
「‥へへ、驚いたか?俺はタダでは死なないぜ」