secret WISH
目に飛び込んで来たのは、光の輪に体を拘束されているアメスと
その術を掛けたであろう、“守り師”だった。
「‥クラーヂマン?」
綺麗なプラム色の長い髪は、くるくると弧を描いて下ろされている。
額には悪魔の羽根の様な模様があった。
「おい、そいつを離せ!!」
「何を言っているの?だってソイツ、エル・ディアブロでしょ?」
だから殺そうとしているのに、さっきから傷が治っちゃうんだ。
「体に穴でも開けたら、死ぬかな?」
すっと上げられる手。
見る見るうちに、そこに光が集まる。
「ダ、メ‥、セレスさん‥逃げ、てッ」
アメスがそう言った時、アメスに光の刃が掛った。
ポケットの中でオニキスが暴れる。
「出来るか馬鹿ッ!」
イヤリングに手を掛けた瞬間に武器化させて
その光を切ろうとするが、威力が凄い。
切る事が敵わなかったその光は、パンッという乾いた音で弾け
その勢いで俺は後ろへ飛ばされた。
「‥っ、てぇ」
ズキズキと痛む頭に手をやれば、赤くなる。
あぁ、出血してる‥。
「やるじゃん、アタシの攻撃止めるなんて」
でも、そうはいかないよ?
「デュモルチェが来たら、君なんて消えることになる」
デュモルチェ‥‥
兄貴のことか。
その時、扉が開いた。
絵本を抱えた兄貴は、驚いた表情でこちらを見てくる。
「‥兄、貴」
「セレス、お前その傷どうしたんだ!?」
「その女がしたの。その女、エル・ディアブロだよ」
“守り師”は兄貴に嘘の情報を告げると
アメスをさっさと始末するように言う。
ガクンッと膝を落とすアメスから
黒い螺旋がじわじわと出てくる。
まさか、ドルガーを出すつもりか‥ッ!?
「‥この子、さっきの‥?」
「‥‥ア、メス‥止めろ」
兄貴の言った事なんて聞こえていなくて。
俺はアメスへと、ふら付く足を動かす。
くそ、頭を強く打ったせいで‥‥
「早く始末してよ」
「‥そうだね、エル・ディアブロだから‥」
始末、しないといけないな。