secret WISH
部屋に戻ると、倒れる様にベッドに寝転んだ。
ファントムの攻撃を受けたアメスと俺。
アメスは治癒能力があるから、傷は全て綺麗に無くなった。
だが、俺はそんな能力なんて持っていない。
頭から出血の上に、身体の至る所は火傷のようにヒリヒリと痛む。
和解の印にと、ファントムがくれた傷薬を兄さんが塗ってくれたが
痛みはなかなか引いてくれない。
「大丈夫ですか?」
心配そうな顔をして覗き込んでいるだろうアメスの顔は
少しぼやけて見える。
‥貧血か?
「あ~、‥痛い」
素直に大丈夫とは言えなくて、俺は枕に顔を埋めた。
傷薬塗る前の方が、痛みが酷くなかった気がする。
「‥私の、せいですね」
ポスンと俺と同じ様に、ベッドに顔を埋めたアメスは呟いた。
俺は体を起こすが、アメスの顔は見えない。
アメスの頭に手を置けば、アメスは顔を上げた。
あぁ、泣きそうな顔してる。
「お前のせいじゃないって。あのチンチクリンのせいだっての」
「‥でも、私があそこに行かなければ、セレスさんはそんな怪我しなくて済んだでしょう?」
はぁ‥と溜め息を吐くアメスは、オニキスの頭を撫でた。
俺はベッドの縁に腰かけて、隣をポンポンと叩く。
それを見たアメスは、俺の隣に腰かけた。
「何であの部屋に行ったんだ?」
「‥それと言って理由は無いのですが、同じ様な気配がしたんです」
「同じ気配?」
「ええ、私と同じ様な気配が。あの子、モンスターだったのですね」
だから、引きつけられたのかもしれません。
困った様に笑うアメスは、俺の腕に触れる。
傷跡をなぞる様に、そっと、優しく。
「迂闊でした。まさかセレスさんが来るとは思っていなかったので‥」
「‥そう、だな」
俺も、まさかお前がいるだろうとは 思わなかった。