secret WISH
「それに、セレスさんに酷い傷を負わせるとも思っていませんでした」
「大丈夫だよ、この位直ぐ治るって!」
「‥なら、いいのですが」
困ったような表情は、さっきからずっと変わらない。
こんなに俺の心配する子が‥、あんな残酷な人の殺し方をするのだろうか。
いや、正確にはドルガーに殺させているのだろうけど‥‥
そんな考えが一瞬頭を過って、俺はブンブンと頭を振った。
「でも、セレスさんが来てくれなかったら、きっと私は今頃どこかに閉じ込められていたでしょうね」
「‥‥アメス」
「だから、有難う御座います。それと‥御免なさい」
離れていく手は、ベッドのシーツを固く握った。
オニキスが机の上で、チャロ石をぺちぺちと叩いている。
‥こういう時、何も言う事が見つからねぇなんて。
さっき頭を振ったせいか、くらくらする頭を傾ける。
すると、しっかり見える様になるアメスの顔。
「セ、セレスさんッ!?」
「な~に?」
俺はアメスの膝に頭を預けて、寝転んだ。
オニキスが吃驚してコッチを見たけど、怒りに来ないようだ。
「悪いと思ってんなら、ちょっとの間こうしてて」
きっと直ぐ寝るだろうから。
「寝ちゃったらさ、俺を床にでも落として帰っていいから。今だけ、な?」
その綺麗な頬に伸ばした手に、アメスの手が重ねられた。
どうして、とアメスは訊く。
「庇ったりなんてしなくても、いいのに」
「何で?」
「私は直ぐに傷が癒えます」
「でも、見ているコッチは嫌なんだけど」
「‥それは、私も一緒です」
また泣きそうな顔をして言うもんだから、
俺はもう片方の手で頭を撫でた。
そっか、お互い気持は一緒なんだな。