secret WISH


そんな事言うけど、実際はドクドク心臓が五月蝿い。
何が『タダでは死なない』だよ。
相手はかなりヤバいやつじゃねぇか。

俺たちクラーヂマンの本当の敵はドルガーではない。

本当の敵は


ドルガーを従え
ドルガーを操って人を襲う


“エル・ディアブロ”という一族。




聞く話では、
エル・ディアブロは治癒能力を持っているって聞く。
スゲー厄介者だ。

武器を強く握りしめる。
とにかく、自分を落ち着かせようと大きく深呼吸した。

「お前、何歳?」

「15歳です」

「‥‥」


‥15歳。
俺は18歳だし、この子よりも背丈は頭1個分デカい。
体力はあんまり無さそうに見えるけど‥

今ここで戦っても、
俺に勝ち目はネェ‥。


「どうしました?」

「‥お前、エル・ディアブロの一族だな」

「ええ。‥貴方は、クラーヂマンですね」

「ああ」


どうする?
逃げるか?
相手が相手だ。
逃げても恥じゃねぇ。


「なら、都合が良いですね」


カツン、と再び教会に少女の足音が響く。
ゆっくり、ゆっくりと近づいてくる少女に
恐怖のせいなのか
それとも相手が女だからか

俺は持っている武器を
掲げる事は出来なかった。


少女の人差し指が、
心臓がある方の胸の上に当てられる。

「何故、武器を向けないのです?」

「‥な、なぁ、俺さ」




君の事、スッゲータイプなんだけど。







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