secret WISH



綺麗なドレスを纏った女の人に
ビシッとタキシードを着こなした男の人。
お城の大広間にある立派なシャンデリアには灯りが点り
長いテーブルには美味しそうな料理やワインが並んだ。

‥と言っても、俺は酒は苦手だが。

綺麗な演奏を奏でるピアニストやヴァイオリニスト。
誰もが聞き入ったり、それに合わせて踊っているのに

‥この男だけは‥‥―――



「うっひょーッ!あの姉ちゃんスッゲー好みぃ~」


さっきから隣で可愛い子を見つけては
指差すわ、デカイ独り言を言うわ、
鼻の下伸びてるわ。

隣にいる俺、凄い嫌なんですが。

「おぉ、あの人際どいドレス着とる!ナイスバディ~」

黙っていたら結構カッコイイ方なのに、
喋ったらただの変態。
あ~あ、ほれ見ろ。
近く歩く子たち、引いてんぞー。

「あんたはさっきから何してんのよッ!!」

ガツンッと鈍い音がして、
隣を見ればリビアンがモルダを殴っていた。
いって~と言いながらリビアンを見たモルダは硬直。

「‥り、リビアン?」

「なによ」

淡い黄色のシンプルなドレス、身を包んだリビアンは
髪を花のついたコンコルドで纏めていた。
武器であるブローチは、胸元に。

本当にシンプルなドレスなのだが、
それはリビアンの魅力を引き出していて
俺もちょっと‥、ホントにちょっとだけ
見惚れてしまった。
‥ゴメン、アメス。

「やっぱ、リビアンが一番可愛いし綺麗や」

いつもみたいに遊び半分な言い方ではなく、静かに言うモルダは
じ~っと、穴が開くほどリビアンを見つめていた。
あらら、リビアン赤くなっちゃって。

「いいところ悪いけど2人共、任務ですよー」

俺たちがこの格好に着替えたのは、
舞踏会に参加して、街の人たちから情報を訊き出す為だ。
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