secret WISH
「‥‥そうか」
いつか、こういう事を言われるだろうと
想像しなかったわけではなかったから。
嫌だとか、離れたくないとか
そういう言葉は出てこなかった。
もし、バレてしまったら‥
そうなる前に、俺たちが対処しないといけないんだ。
アメスは俺から離れて、両手を差し出す様に言った。
言われるがまま両手を差し出すと、その上に自分の手をかざす。
アメスの手からはふんわりとした柔らかい光が放たれ
俺は手に重みを感じた。
「コレは?」
手の中の石の塊に、俺は見入った。
ただの黒い石の様に見えるが、よく見れば深い紫の色。
アメスはそれを撫でると、俺を真剣な眼差しで見た。
「これを貴方が大切に持っていれば、絶対にまた会えます」
「‥御守り、なのか?」
「まぁ、そんなものです。チャロ石の欠片持っているでしょう?あれ、ここに来る前に貴方の部屋に寄って、勝手にですが頂きました。だからその代り、それをあげます」
「えぇ!?取ったのか!?」
「はい」
アレは俺が持っていた
唯一の所持品のうちの一つなのだが‥。
あんな欠片を持つより、
こっちのアメスの拳くらいある方を
持った方がいいだろうに。
「‥大事に、してくれんの?」
「ええ、もちろんですよ」
‥それなら、まぁいいか。
その欠片を見て、俺を想えばいい。
その欠片を大事にしてくれるならきっと、
俺の事を忘れない。
とんっと頭に何かが落ちてきた感覚に、俺は天を仰いだ。
アメスがくすくす笑っていて、俺はソレを捕まえる。
「何でお前が此処にいるんだよ」
手の中に捕まえたオニキスは
俺が持っているチャロ石にぴったりと寄り添う。
そして寂しそうな目をして、アメスを見上げた。
「‥オニキス、俺のとこに置いとくのか」
「ええ、宜しくお願いしますね」
オニキスはチャロ石を抱えて、俺の手の中から消える。
チャロ石の感覚も無くなってアメスを見れば、
オニキスもモーメントムーブが出来る事を教えてくれた。
「最後に、教えておきたいことがあります」