secret WISH



「‥‥」

「‥‥」


って、何言ってんだ俺!!
こんな事言っても何にもならねぇって!!
こんなの自分が死ぬの早めただけだろ!!


「や、だから、そのなッ」


暫くの沈黙の後、
慌てて言い訳でもしようと口を開いた。
心臓に指されていた指はいつの間にか下がっていて
少女は下を向いている。

すると、クスクスと笑い声が。

「緊張感の無い人ですね。自分の命が危険だというのに」

「や、最後だからこそ可愛い子にナンパくらい‥」


そう言うと少女は、更に笑いだした。


「‥そんなに面白い?」

「えぇ、貴方みたいな人は初めてです」


私がエル・ディアブロの一族だと分かったら
一目散に逃げ出すのに‥。

少し寂しそうに言う少女は、自分の手を見つめた。

白い肌に、綺麗な爪。
俺より一回り小さいその手は、何人の人を殺したのだろう。


ちらりと視線を横にすれば、見えるのは沢山の死体。

‥あれを、全て‥。

そう思うと胸が痛くなった。
少女の気持ちや考えている事なんて分からない。
だから同情なんてないと思うが
それでも、何故か胸が痛んだのだ。

でも、この子にもちゃんと感情がある。
あんなに沢山の人を殺したとしても
あんな風な寂しい顔だって
笑うことだってあるんだから。

だから、更生出来ねぇかな‥。

なんて考えるのは
友達にいつも馬鹿にされる
“正義感”というものなんだろう。

「‥俺さ、やり残してるコトあるんだ」


ああ、まるで今から本当に自分が死ぬような言い方。
内心そう思いながらも、少女に話しかけた。

「やり残してるコト?」

そう、と頷けば、
少女は首を傾げる。

「俺、まだ一度も付き合った事ねぇの」

「そうですか」

うわ、何か流されたって気ぃする‥
それとも18歳にもなって経験0だから
馬鹿にされた?
しょうがねぇだろ、仕事で忙しいんだよ!!


「‥うん、だからな、」




俺と、愛し合ってくれない?

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