secret WISH
そこを見ると、ドルガーに囲まれて動けない人たちが。
近くに逃げている人がいない事を確認して
武器を大きく振って、それを投げた。
ズバズバと切れていくドルガー達の中を走り抜けて、
武器がUターンした直後それを手に取る。
そして、人を囲むドルガー達を切りつける。
「大丈夫ですか!?」
「は、はい。有難う御座います。助かりました」
「良かった、早く逃げ‥‥」
ヒュっと何かが動いて、
気付けば腹に鈍い痛みが走っていた。
「ッ、ゲホ‥ッ」
な、何で‥
この人俺の腹、蹴ってんだ?
ガクンと膝をついて、その人を見上げると
怖いくらいに笑顔だった。
そして、その体から黒い螺旋を出し
見る見るうちに変わる姿。
「どうなってるの!?」
微かに見える隙間からは、
リビアン達の近くの人間もドルガーに変化した。
‥アメスが言ったままかよ。
『このお城に来ている殆どの人たちは、ドルガーです』
人がドルガーになるなんて、正直信じてなかった。
いや、信じたくなかったけど‥‥
ぐぃっと髪をドルガーに掴まれて、
俺は上を向く。
アメスが、動揺の眼差しをこっちに送っている。
いつの間にか武器を手放してしまっていたようで
手の届かない場所に放られてしまっている。
ゴッ
床に勢い良く頭を叩きつけられ、
一瞬、目の前が真っ白になった。
ヤバい、ぐらぐらする。
起き、上がれない。
その時‥、聞こえてきた。
俺を呼ぶ、女の子の声が。