secret WISH
ヒュッとアメスの小さな手が
俺の頬の隣を抜けた。
爪、伸びてっから当たったら傷になるな。
アメスの攻撃を交わしながら、
何となく自分の爪の長さを気にしてみたり。
「余所見してると、アブないですよ?」
その声に顔を上げると、ピッと頬が切れた。
それに、何だか笑みが零れる。
あの夜と同じ場所に傷を負わされるなんて。
次々に攻撃を仕掛けてくるアメス。
そしてそれを避けまくる俺は、攻撃をする事は無かった。
でも、それは流石におかしいと
互いの仲間に思われる。
‥でも、アメスに攻撃なんて出来ねぇし‥
「踊り」
微かに聞こえてきた声に、俺は小さく首を傾げた。
「ステップと同じ様に手でも足でもいいので攻撃してきて下さい」
これならお互い、いつどっちが出るか分かるでしょう?
小さな小さな声でアメスはそう言った。
何処か、楽しそうに聞こえたのは
気のせいじゃなかったようだ。
俺にしか顔が見えない角度に回ると
ニコリと一瞬だけ微笑んだ。
「その顔、反則。可愛過ぎだぜ?」
お返しにと、俺も口の端を上げれば
少しだけアメスが赤くなった。
でも、それ以上は赤くなったりするなよ?
バレちまうから。
「では、いきますよ」
アメスの声で、俺はニセ攻撃を仕掛けた。
アメスは俺の攻撃を綺麗に避けながら
アメスも俺にニセ攻撃をしてくる。
ホント、ぴったり。
お互いギリギリのところで当たらない。
戦いながら見えるアメスは
ずっと一点を見つめていた。
目線的に‥俺の、頬か。
これは仕方のない事だから、気にするな。
そう言ったって、気にするんだろうな。