secret WISH
「俺、こっちの家見てくるわ」
モルダが向かいの家に入っていく。
パキンッと踏んだガラスの音が、空に抜けた。
「‥‥ない」
「え? 何か言ったか?」
「う、ううん、何でもない。私、隣見てくるわ」
そう言って足早に俺から離れるリビアンは
モルダの背中を見ながら家の中へ入っていった。
何だよ、モルダもリビアンも。
なんか変だぞ?
一人立ち尽くしていると、ジャリッと砂の踏む音。
俺は振り返った。
「こんばんは」
月の光に照らされて、にこりと微笑む女。
‥髪の色が、ホワイトスモーク?
暗くてよく分からなくて、目を凝らした。
「この町の方ですか?」
「いいえ、私は‥‥」
貴方にとって、敵以外の何でもないんじゃない?
漂う空気が、一瞬冷たくなった。
ズルズルと、何かの音がする。
「エル・ディアブロか‥?」
「そう思うなら、そうなんじゃない?」
ヒュッと風の音に、俺は武器を手に取った。
後ろに振り回せば、ドルガーが切れる感覚。
後ろから狙おうたって、そう簡単にはいかねぇよ。
「へぇ~、結構勘が働くんじゃない」
くすくすと笑いながら、
そいつの目は俺でないものを捕えていた。
その先には、モルダが‥。
「セレスくん!」
リビアンは既に武器を手にして
俺の元へ駆けてきた。
次々に出てくるドルガーに
俺たちは武器を振り回した。
「おいモルダッ!お前何突っ立ってんだ!!」
ドルガーが出ているのに、戦おうとしないモルダ。
武器を変化させることせず、エル・ディアブロを見ていた。
何してんだアイツ、何で戦わないんだ!?
「可愛がってあげようじゃない♪」
ちょいちょい、と人差し指を動かす女。
そしてモルダが、動く。
「っ、モルダ‥ッ!?」