secret WISH
現の矛盾
あれから夜が明けて
只今、お昼前かと思われます。
どうも、お早う御座います。
セレス・タインと申します。
職業はクラーヂマンをしています。はい。
「はぁ‥」
良く眠れませんでした。
何でかって?
深夜に教会でとんでもない人と遭遇したからです。
それだけではありません。
とんでもない賭け(?)をしてしまいました。
まぁ、簡単に説明すれば‥―――
『俺と愛し合ってくれない?』
って、駄目もとで言ったらまさかのお返事。
『‥いいでしょう』
その代り、期限は1ヶ月。
それまでに貴方が愛おしい存在だと私が思えば
貴方の命を見過ごしてあげます。
『もしそう思えなければ‥―――』
貴方の命、頂きます。
『‥ぁ、あぁ、そう』
『はい』
『君、名前は?俺はセレス・タイン』
『‥‥アメス、アメス・アイトといいます』
って、期限あるのかよー‥ッ!!
聞いてねぇし!!
たった一ヶ月間だぁ!?
無理に決まってるだろー!!
可愛い名前のくせして
んな無茶言うなーーーーーッ!!
‥って、名前は関係無いか‥。
「‥はぁ」
出るのは溜め息ばかり。
‥仕方ねぇ、
あと一ヶ月の間に、挨拶して回っとくか‥。
ベッドから起きて大きく背伸びをすると
カーテンを開いた。
ほら、もうあんなに高くお日さまが上がってら。
洗面台の前にたち、鏡を見れば疲れ切った自分の顔。
目の下にはうっすらと隈が。
バシャバシャと音を立てて顔を洗って
もう一度、鏡の中の自分を覗くと‥
「‥ん゛?」
気のせいか‥?
今、俺の後ろの棚の上にちんちくりんの黒いモノが‥。
あれ?と後ろを振り向いても、そこには何もいない。
見えるのは、濡れた前髪からポタポタと落ちる雫だけ。
「毛玉みてぇなのがあったと思ったんだけどなぁ」
俺は一人で呟くが、
返事が返ってくるわけでもなく。
クローゼットから服を取り出し着替えると
ベッドサイドに外しておいたイヤリングを装着。
そして部屋を出た。