secret WISH




物凄いスピードで攻撃を仕掛けてきたモルダに
俺はリビアンを庇った。

「っ、ぐぁ‥ッ」

「ちょっと、モルダ!?」

「お前、どうしたんだ‥!!」

俺たちの声が聞こえてない様で、
モルダは次々に俺に蹴りを向ける。

「ゴホッ」

モルダの蹴りをくらってしまって
俺は地面に転んだ。
ぐっと俺の首を絞めるモルダの目は
虚ろで色を感じられない。

「‥お前、操られて、んの、か?」

途切れ途切れに問うけど、返事は無かった。
モルダを止めようとリビアンが飛び付くが
簡単にリビアンの体は飛ばされた。

「操られてる? そう言っちゃえば、そうじゃん」

面白そうに笑うそいつは、ひらひらと手を振る。
首を絞める手に、ギリギリと力が増す。
その時リビアンがモルダを突き飛ばし、
俺はやっとの思いで大きく呼吸した。

「っゴホッ、ゲホゲホッ!」

ゆらりと立ち上がったモルダに、
リビアンは向かっていった。
容赦無く矢を放つリビアンは、涙目だった。

「リビアンッ!?何してんだ!!」

俺は慌ててリビアンを止めようとするが
軽い目眩に襲われて、立ちかけた膝を落とす。

「あんた、誰よ!!」

リビアンはモルダに向かって叫んだ。

「あんたはモルダじゃないわ!!モルダはこんな事しない!!」

バシュッと放った矢は、モルダの肩を掠った。
赤い三日月が、笑っている様に見える。

「モルダはね、私があげたものは絶対に大切にしてくれるの!身につけるものなら、一時も離さないで持ってくれるわ!!」
なのに、なんであんたは私が昨日あげたネックレスを持ってないのよ!!

その声に、俺はハッとした。
リビアンが、ずっとモルダを気に掛けていたのって‥‥

「おかしいと思っていたのよ! 治安署にも戻らない、私がセレスくんと2人きりでいたって言っても、無反応なんだもの」



そんなモルダは、私の知ってるモルダじゃないわッ!!



< 90 / 173 >

この作品をシェア

pagetop