secret WISH



日付を過ぎた頃。
俺は力無い歩きで、治安署に帰った。
いつもなら耳に付けておくイヤリングは
手の中に握ったままだ。

「‥では、モルダはドルガーであったのですね?」

「はい」

「リビアンは、死亡ですか」

「‥‥」

報告書を貰っても、書かないままの俺に
幹部の人が話しかけてきた。
俺の話に静かに耳を傾け、
その人は俺が言った事を繰り返した。
止めて欲しい。
言えば言うほど、居なくなったのだと
死んでしまったのだと現実味を帯びる。
けど、報告書を書く気力がないのだから
矛盾しているが、助かった。

「そうか。昨日の犠牲者は、8人だな」

「‥8人」

「そろそろ、エル・ディアブロが動き出したということでしょう」

静かに窓の外に目をやると
やっぱり赤い三日月は笑っている様に見えた。
月は、エル・ディアブロの見方をしている様。
そう思うのは‥‥





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