secret WISH
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ただいまも言わずに部屋に入ると、
オニキスが出迎えてくれた。
何も言わない俺に対して、首を傾げるのも無理はない。
いつもなら「ただいま」と言うし、
出迎えたオニキスを撫でてやるし。
ジャケットを脱ぎ捨てて、俺はベッドに沈んだ。
このまま寝てやろう。
そう思うけど、そう簡単には眠れない。
ずっと、ずっと。
頭の中でモルダがリビアンを刺した辺りから
何度もリプレイされるのだ。
‥消えない。
そう思っていた時、チャロ石が微かに光った。
中に電気が入っている様子もないのに
光るこのチャロ石は、不思議に思うが綺麗だ。
何だろう、この光。
何だか優しい感じがする。
心が、癒える様な‥‥。
オニキスに久しぶりに頭を噛まれ、
ガシリと小さな体を鷲掴んだ。
するりと俺の手から抜けて
布団変わりのタオルを持ってくると
オニキスは俺の胸元に転がった。
一緒に寝てあげる。
そんな声が聞こえた様な気がして
俺は帰って来て初めてオニキスを撫でた。
いつの間にかチャロ石の光は無くなっていて
その代りに眠気を感じた。
『けが、だいじょうぶ?』
『ああ、このくらい、すぐになおるって』
あぁ、今日もまたこの子が出る夢。
俺は女の子に手を引かれながら、小さな湖の前に来ていた。
太陽の光に、キラキラと光る水面。
周りは木や草に囲まれて、一言で言うなら大自然?
とにかく、とても綺麗なところだ。
『どうしたんだ?こんなところに来て‥』
『‥ゴメンなさい』
女の子は、悲しそうな目をして俺を見た。
謝った意味が分からずに、その子を見つめていると
水面が光り出した。
『なんだ!?』
『セレス、おわかれなの』