secret WISH
オニキスを抱えて、治安署に戻る事にした。
ここ一週間、爺さんと俺の時間が合わないから
訊きたい事も訊けてない。
話しておきたい事もあるけど、それも出来ない。
でも、そんな事より‥‥
「アメス、大丈夫なんかな」
オニキスに尋ねるけど、
オニキスは返事をしてくれなかった。
何だか難しい顔をして。
何処か一点を見つめていて。
そういうの、止めてくれよ。
アメスに何かあったんじゃないかって
本気で心配するじゃねぇか。
そうでない様に願ってもみるけど
さっきの野郎の言葉が離れないせいで‥
『別に? 何だかね、裏切り者がいたみたいでね。そいつがさ、ここ最近毎日会いに行っていたのが』
クラーヂマンだって話。
ドクドクと、何故か心拍数が上がっていく。
何、こんなに動揺してんの?
何焦ってんだよ、俺。
大丈夫だってアメスは!
そう何度も自分に言い聞かせるけど
心臓の動きは速くなるばかりで。
最悪のコトが、頭の中を占領していく。
「考えるな、考えんな!」
その時、ポケットの通信機が鳴った。
俺を呼ぶ声は、兄貴だった。
『セレス、今何処だ!?』
「と、隣町」
兄貴の声の後ろが、とても騒がしかった。
‥何だ? 叫んでる?
いや、違う‥悲鳴!?
『今すぐ帰って来い!!治安署がエル・ディアブロに襲撃されている‥ッ』
その言葉に、俺は駆け出した。