窓際の夜想曲 ‐短編集‐
誰もあの人の代わりにはなれない。
あの人の後継者もいない。
いや、継ぐのは私か?
遥香はもっともっと、先輩と話したかったな、と今更ながら思った。
あの人には、恋愛の匂いがしない。
人間だから、当然、恋はするだろうなと思う。
しかし、"恋愛"なんて低俗なものは似合わない。
そういうもので、けがしてはいけないと思う。
だから、何も言わずに、明日は笑って見送ろう。
大学行ってもがんばってくださいね、とだけ言って。
思いを巡らせながら遥香は眠りについた。