地球妖精族

　特に被害が深刻だったのは、プラエテの対の世界であった、マイナス８ワールド【エンシシ】である。エンシシもまた、プラエテと同じように超魔法によって発展し栄えているエルフによる文明であったが、エンシシ人のそれは既存の魔法との混合文明でもあり、エンシシは辛くも中央世界それ自身とバランスを取ることに成功する。
バランスを欠いたことによって世界だけでなく、次元を繋ぐ扉、或いは通路であるウォーターループにも当然深刻な影響が及んだ。次元の境界を越えるということは、この世の理を超えるということでもあるのだ。そして暴走したウォーターループは恐ろしい破壊力を持っていた。まるでそれ事態が裁きでもあるかのように荒れ狂い、３の次元を吹き飛ばした。プラス３ワールド【パンセ】、マイナス３ワールド【アフォシオン】は壊滅。多くのエルフ族やフェアリーたちが別次元へと移住した。現在３の次元にはプラスマイナス方向のどちらにも世界は存在しない。砕け散り霧散し、小さな星屑となって世界をただ回っているのみである。その時からウォーターループは全くこの世界に開かなくなってしまった。特に中央世界への通路はすべて閉ざされ、どんな魔法もどんな契約も中央世界にだけは扉を開かない。もはやその地に行く事が出来るのは、次元を飛び越える翼を持つメテオラのみ。閉ざされた中央世界はこうして伝説となった。