地球妖精族
 彼らは生涯に必ず真の歌を捧げる相手を見つけなければならない。その歌を受け取ってもらえないメテオラは成鳥になることが出来ない。
 しかし、メテオラの真の歌はどんな願いをもかなえるという奇跡の歌でもあるのだ。捧げるといって受け取らない者は皆無と言っていい。だからその歌を捧げる相手を探すのは、メテオラの特権でもあった。だが、この群れのリーダーであるシルバーハーモニー(銀の調べ)は相当変わり者だった。彼が歌を捧げる相手に選んだのは、なんと中央世界の人間・・・つまり、フィユーであったというのだ。13世界に流されてきた銀の妖精フィユーではなく、中央世界にいる人間フィユーに、メテオラが歌を捧げたというのは前代未聞である。何故なら、メテオラはその中央世界にいる人間フィユーの心のみを巣とする種族であり、それがすでに一種の契約なのである。更に真の歌を捧げる相手をその人間とした場合、2重の契約を結ぶ事になってしまう。それは恐ろしい事だった。願いによっては、シルバーハーモニーは消失してしまう。その存在すべてが、人と共に歩むことになってしまう。一歩間違えれば、それは呪いに近いものになってしまうからだ。
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