地球妖精族
 それ故にシルバーハーモニーは一時期メテオラ一族から追放されていた。
その後群れに戻ったが、それはその真の歌を捧げた相手が死んでしまったからだという。シルバーハーモニーは多くを語らないが、歌を捧げた相手を失ったメテオラは非常に孤独だ。メテオラは歌を誰かに捧げずには居られない生物なのである。だから誰もがシルバーハーモニーはすぐに死んでしまうだろうと想った。
けれど彼はまだ生きていて、それは奇跡を起こすメテオラにとっての奇跡となっている。フィユーというのはなんという人間なのか、妖精なのか、・・・いや、生物なのであろうか。メテオラにとっても彼らは神秘だったのである。
「新円の真逆の契約を知っているのはもっと古いグループです。我々のグループはまだ若い。良く知っている者はいないんです」
 ルーンリングはすまなそうにシルヴァンに言った。
リュフトヒェンは軽く肩を竦めて、やっぱり無理なのかなと呟いた。
「我々も、本来なら次元を超えるのには、自分の身一つしか無理なのです。古の契約によって存在する幾つかのループストーン、あるいは新円の真逆のようなループスコープがあり、種族とメテオラとの間になんらかの取引が成立していれば、・・・運ぶことは確かに可能です。 私も聞いたことはあります。 新円の真逆は、白霧の都へフィユーを救済する為に、何代か前ののメテオラの長が契約したものだと」
「それはどのぐらい昔の話なんだろう」
 シルヴァンが聞くと、ルーンリングは首を傾げた。

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