地球妖精族
「早く早く! シルヴァン早く!」
 リュフトヒェンは急いでいた。
背後を振り返ると、自分のパートナーであり、自分の半身であるところのシルヴァンが必死に追いかけてくるのが見えたが、余りの人ごみに中々前に進めないのだ。
それはリュフトヒェンにも解っていたのだが、非常にまずいことになっていた。
 大きな群れだった。
少し聞きたい事があってその群れに近づいた時に、群れのリーダーであるところの一羽が警告を発していた。でもシルヴァンにもリュフトヒェンにも、それがなんの警告だったのか全く理解出来なかったのである。その為巻き込まれてしまった。
「とんだことになった!俺たちじゃ飛び越えられないかも!」
「落ち着け、リュフトヒェン。 跳躍自体は問題ないと思うが、むしろ問題なのは時間だろう。 我々には時間が短すぎるんだ。生粋のメテオラなら問題ないんだろうけど」
「ああ、警告を聞くんだった!」
「今更言ってもしょうがない。 しかし、何の為の跳躍なんだ?」
 トゥエンティは一羽と一人の会話を聞いた。
どうやらその不思議な鳥の方はリュフトヒェン、青年の方はシルヴァンというらしい。
人ごみを必死に掻き分けて、トゥエンティは1羽と1人に叫んだ。
「あなたたち、一体なに?」
 果たして、1羽と1人は振り返った。
その時トゥエンティは気づいた。見たことの無い髪の色だと思った。そうそれは、トゥエンティと同じ、フィユーの色・・・銀色だったからだ。
「・・・あなた、フィユーなの?」
 1羽と1人は、トゥエンティを見て一瞬たじろいだような仕草をしたが、その問いには答えなかった。ただ、青年がこう言った。
「君も跳ぶのかい? だとしたら急いだ方がいい」
「跳ぶ? 何処へ」
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