-KAORI-

出るっていう選択思はなく、あたしはずっと二人の帰りを待っていた。

ピロピロン

何度も鳴るケータイ。

ピロピロン

「もういやっ!」

あたしはケータイを投げ捨て、うずくまって泣いた。

『あかりちゃん!?あかりちゃん!』

琴乃さんの声で、我に返った。

『どうしたの?ケータイ投げ捨てて、泣いて。風ちゃんは、助けたよっ』

「琴乃さんっ…。」

心配した琴乃さんの顔を確認して、また泣いた。

すると、後ろで泣いている風を見つけた。

「風ぇ!」

『あかり…。怖かったよ…。』


その後、琴乃さんから聞いた話では、琴乃さんより先にタツがトモから風を助けたらしい。

『タツは、あかりちゃんが好きなのね。』

「…え?」

『ちょっと、喫茶店に寄って行く?』

「え…。」

『あっ、今日は無理だよね。ごめんっ。アド交換出来る?』

「はい…。」


すると赤外線でするよう、ケータイを差し出してきた。

琴乃さんのケータイに送ろうと、投げ捨てていたケータイを取って開いた途端、目を疑う程の着信の数が目に入った。

それより先に、自分のアドレスを赤外線で送った。

『ありがとう。何かあったら、すぐメールしてね。あっ、あとさ、今度話さない?』

「いいですよっ」

『うん、じゃあ、メールで知らせるから。』

「はい…。」

『車で送るから、下行こっか。』


あたしと風と、琴乃さんとタツとホテルをあとにし、パーキングでピンクの車に乗った。

『どこで降ろせばいい?』

「えっと、矢先町で。」

『風ちゃんも?』
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