CHAT
「あなた…Kさん…?」


私がそう言うと、男が不気味に笑って走り出した。

人込みに紛れ姿を消した。


「な…ぎさ…」


木崎君が私を呼ぶ。

見ると微かに目を開けていた。

私は血まみれの手を握った。


「木崎君…!待ってすぐ救急車呼ぶから!」


そう言ってケータイを取り出して、電話をする。


「渚じゃなくて…」


電話をし終わると、木崎君が小さな声で言った。

少し笑って言った。


「本当によかった…」


それだけ言うと木崎君の目は閉じた。

私の泣き叫ぶ声が交差点に響いた。
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