CHAT
病室の前に着いた。

オレはトランクケースを置いて、ノックをしようとした。

その時、中から声が聞こえた。


「大丈夫なのか?」


聞き覚えのある声だった。

オレはそっとドアを開けて、中を見てみた。

おふくろのベッドの横の椅子に、親父が座っていた。


「大丈夫、心配しないで」


おふくろは嬉しそうに親父を見つめている。


「治療費はちゃんと払ったから、心配するな」

「そう…ありがとうございます」

「それから…」


親父が言葉に詰まる。

おふくろはそれを優しく見守る。
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