♭―フラット
資料を借りる手続きも終え、男は「ふぅ」と息を吐いた。

(もうちょっと休憩していこう)

そう、男が脱力していると、安いオルゴール独特の乾いたメロディーが聞こえてきた。

誰かがオルゴールのふたを開けたのか?
と、別段気にも留めずそれを聞いていた。
聞いたことはない曲だが、けして嫌いではない。


『・・・・・・・・・~~~』


「ん?」

ふと、違和感を覚えた。

この曲、リピートしていない??

普通、オルゴールなんてものはサビの部分を延々とリピートするもんだろう?
なのにこれは・・・。リピートしてないなんてもんじゃない。


乾いたメロディーからしっとりと心に響くようなメロディーに変わってる。
何時の間に?
< 8 / 19 >

この作品をシェア

pagetop